輪奈ビロード
輪奈(わな)と呼ばれる
ループが美しいシルク生地
輪奈ビロード
Wana velvet
輪奈ビロード
の
歴史
信長も魅了した
華やかなシルク生地
輪奈ビロードは今から400年以上前、天文期にポルトガルより伝来したと言われています。
宣教師から贈られたこの珍しい織物のマントなど織田信長公をはじめとする戦国大名をも魅了しました。
江戸時代、慶安期には日本で生産がはじめられたと云われています。
滋賀県長浜市には、江戸時代中期にその製法が伝えられ、その後ジャガード織機を使用した柄織が始められました。
以降、輪奈ビロードの肌触りを着尺地に生かす工夫がなされ、輪奈ビロードのコート地が誕生しました。
現代も、コート地の最高級品を主軸として愛されており、「滋賀県伝統的工芸品指定」を受けています。
表面に凸凹がある
不思議な生地、輪奈ビロード
表面に凸凹がある不思議な生地、輪奈ビロード。 生地表面の凸凹は輪奈(わな)と呼ばれるループ(タオル生地のパイルのようなもの)で柄を作ることによって生まれます。 輪奈ビロードには上品な華やかさがあり着心地は軽く、輪奈が柔らかな手触りをもたらします。 着る人だけでなく、見る人をも優雅な安らぎで包み込みます。
PROCESS
製織
せいしょく
生地は経(たて)糸と緯(よこ)糸の組合せによって作られます。 輪奈ビロードは生地の表面に輪奈とよばれるループを作り、輪奈の配置によって柄を作ります。 これが輪奈ビロードの特徴でもあります。 輪奈を作るために経糸で芯材を抱えるように織りこみます。 着物コート地1反(H 1,150cm× W 39cm)を織るのに2〜3日かかります。
紋切り
もんきり
製織後、芯材が入っている輪奈の経糸を小刀というカッターのような特殊な道具を使い、手作業で糸1本1本を丁寧にカットしていきます。 この時に輪奈の中心(天)を切らないと染め上がった時に美しく仕上がらず、これは職人の手や小刀の刃の角度に左右されます。 この紋切の工程より輪奈の糸が開きビロードと呼ばれる部分ができます。
製織後、芯材が入っている輪奈の経糸を小刀というカッターのような特殊な道具を使い、手作業で糸1本1本を丁寧にカットしていきます。 この時に輪奈の中心(天)を切らないと染め上がった時に美しく仕上がらず、これは職人の手や小刀の刃の角度に左右されます。 この紋切の工程より輪奈の糸が開きビロードと呼ばれる部分ができます。
針抜き
はりぬき
紋切の作業を終えた生地の芯材を全て抜きます。 長さ1,150cmの生地1反に対して、芯材を約1万5千本織り込んでいます。 針抜きも手作業です。 左手で生地を押さえて右手で芯材を絶妙なスピードで抜いていきます。 一定のスピードで抜きながらいつもと比べて抜く感覚に違和感がないか注意します。 細い生糸は少しの引っ掛かりでも傷の原因となるからです。
精練
せいれん
針抜きを終えた生地は生機(きばた)と呼ばれ、まだ真白い生地ではありません。 精練の工程を経て白い生地になります。 精練では生糸のセリシンという成分を落とすために、生機を高温で煮ます。 輪奈は濡れている状態で圧力がかかると作った輪奈が潰れてしまいます。 そのため、輪奈ビロードの精練では輪奈を潰さないようにとても神経を使います。 この工程を経て絹本来の光沢としなやかさが現れ、美しい白生地となります。
針抜きを終えた生地は生機(きばた)と呼ばれ、まだ真白い生地ではありません。 精練の工程を経て白い生地になります。 精練では生糸のセリシンという成分を落とすために、生機を高温で煮ます。 輪奈は濡れている状態で圧力がかかると作った輪奈が潰れてしまいます。 そのため、輪奈ビロードの精練では輪奈を潰さないようにとても神経を使います。 この工程を経て絹本来の光沢としなやかさが現れ、美しい白生地となります。
色染
いろぞめ
輪奈ビロードは、織り上がった後に染めを行う「後染め」を行います。 この工程では、無地染だけではなく、ぼかし染めなど様々な色染を施します。 輪奈のある部分とない部分、またビロードの部分は紋切りによって切られた糸の断面から染料が多く入るため他の部分より濃く染まり、 一色のみで無地染した輪奈ビロードでも色の濃淡が表れ、生地の表情に華やかさがでます。
輪奈ビロードは、織り上がった後に染めを行う「後染め」を行います。 この工程では、無地染だけではなく、ぼかし染めなど様々な色染を施します。 輪奈のある部分とない部分、またビロードの部分は紋切りによって切られた糸の断面から染料が多く入るため他の部分より濃く染まり、 一色のみで無地染した輪奈ビロードでも色の濃淡が表れ、生地の表情に華やかさがでます。